短鎖脂肪酸とは?中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸との比較
2017/09/24
目次
短鎖脂肪酸とは?腸内細菌が作る腸が健康に若返る薬
短鎖脂肪酸とは?
短鎖脂肪酸とは数個から数十個の炭素が鎖のように繋がった構造をしている脂肪酸のうち、炭素数が4個以下のものを言います。
具体的には酢酸・プロピオン酸・イソ酪酸・酪酸・イソ吉草酸・吉草酸・カプロン酸・乳酸・コハク酸を言います。
しかし乳酸やコハク酸は短鎖脂肪酸に府決めないという考え方もあります。
短鎖脂肪酸(主に酢酸・プロピオン酸・酪酸)はウシやヤギ、ヒツジなどの反芻動物が胃の中で発酵するときに生じる物質で、この短鎖脂肪酸が動物たちのエネルギーとなるのです。
ヒトの体内でも腸内細菌が食物繊維を発酵するときに短鎖脂肪酸を生成します。ヒトの短鎖脂肪酸は酢酸・プロピオン酸・酪酸で酪酸は大腸の上皮細胞のエネルギー源として利用され、酢酸とプロピオン酸は肝臓や筋肉でエネルギーとして使われます。
また、短鎖脂肪酸の受容体は全身のいたるところにあり、これらの部位の生体調節機能を果たしています。
その中でも生活習慣病と深い関係になるものも多いため、ガンや肥満、糖尿病、免疫疾患を予防したり、治療したりできるとして研究が進んでいます。短鎖脂肪酸は私たちの腸が健康に若返る魔法の薬といってもよいでしょう!
短鎖脂肪酸は腸内環境を整えることでも知られています。酸性なので腸内を酸性に整え、アルカリ性が大好きな悪玉菌の動きを抑制し腸を健康にします。
食品に短鎖脂肪酸が含まれているならぜひ積極的に摂取したいものです!
短鎖脂肪酸の食品・短鎖脂肪酸のでき方
酢酸
酢酸は、ずばりお酢。一日の摂取量の目安は大さじ1杯程度。
そのほかに
- ナタ・デ・ココ(ココナッツジュースを酢酸菌で発酵させたもの。)
- 紅茶キノコ(東モンゴル原産の発酵飲料。)
- スメタナ(東欧の発酵乳の一種でサワークリームのこと)
- カスピ海ヨーグルト
などが酢酸を含む食品です。
プロピオン酸
プロピオン酸の語源は「最初の脂肪酸」という意味で、短鎖脂肪酸に中で最も炭素数の少ない脂肪酸。刺激臭を持ち、乳製品に含まれています。
チーズやパン、洋菓子などに入っている防カビの食品添加物です。
酪酸
バターから得られたために「酪酸」とよばれるようになった。足の裏の悪臭や。銀杏の異臭の成分。
バターやチーズに多く含まれています。
食物繊維が多い食事をとると腸内でも酪酸が増加します。腸内細菌の作る酪酸は体内に取り込まれると免疫系に作用し、制御性T細胞という炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがあるそうです。(理化学研究所HP http://www.riken.jp/pr/press/2013/20131114_1/ )
飽和脂肪酸(短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸)比較
飽和脂肪酸は短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の3つに分類されます。
・長鎖脂肪酸 炭素を結ぶ鎖の数が14以上の飽和脂肪酸
・短鎖脂肪酸 炭素を結ぶ鎖の数が6つ以下の飽和脂肪酸
・中鎖脂肪酸 炭素を結ぶ鎖の数が6~12の飽和脂肪酸
長鎖脂肪酸は体内で固まりやすい特徴を持ち、大量に摂取すると脂肪として蓄積され肥満に繋がります。食用油の殆どが長鎖脂肪酸です。
長鎖脂肪酸を含む食品(パルチミン酸、オレイン酸、リノレン酸、アラギジン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸)
- 動物の脂(牛脂・豚脂)
- オリーブオイル
- 大豆油
中鎖脂肪酸はココナッツやパームフルーツに多く含まれている天然成分で、母乳や牛乳にも少量含まれています。
中鎖脂肪酸は食べた後に直接肝臓に運ばれるため、素早く分解されエネルギーになりやすいので、長鎖脂肪酸と比べると体脂肪として蓄積されません。肥満、コレステロールの上昇を抑え、心筋梗塞や動脈硬化のリスクも軽減するメリットがあるといわれています。抗酸化力もあるのでアンチエイジングが期待できそうですね。
(出典 http://www.taisibo-navi.com/product/tyusa.html )
中鎖脂肪酸を含む食品(ラウリン酸、オクタン酸、テカン酸、カプリル酸、カプリ酸)
- ココナッツオイル
- パームオイル
- バター
- 牛乳
- 日清オイリオヘルシーリセッタ
中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸と比較すると短鎖脂肪酸は腸内で生産する割合が高いことが特徴です。腸内細菌が食物繊維を発酵させることで短鎖脂肪酸は精製されるからです。短鎖脂肪酸はバターやチーズなどにも少量含まれます。
短鎖脂肪酸はカルシウムや鉄分、マグネシウムの吸収を高めたり、抗炎症作用があり腸内を酸性で健康な状態にしたりする脂肪酸です。
短鎖脂肪酸を含む食品(酢酸・プロピオン酸・イソ酪酸・酪酸・イソ吉草酸・吉草酸・カプロン酸・乳酸・コハク酸)
- バター
- チーズ
- 牛乳
(腸内で生成されることが多い。)
まとめ
飽和脂肪酸には長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と短鎖脂肪酸がある。
長鎖脂肪酸は脂肪として体内に蓄積されやすい。
中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べてエネルギーになりやすく、肥満、コレステロールの上昇を抑え、心筋梗塞や動脈硬化のリスクも軽減するメリットや抗酸化力があるといわれている。
短鎖脂肪酸は主に腸内細菌が生成する物質で、カルシウムや鉄分、マグネシウムの吸収を高めたり、抗炎症作用があったりと健康効果が高いだけでなく、腸内を酸性にし、健康な状態にする。